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2025年10月30日

映画ヲ詠メル

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ゆうされば てふよはなよも うつ蝉の けふをかぎりと 陽はおちてゆく

るい詠める

<読み>
ゆうされば ちょうよはなよも うつせみの きょうをかぎりと ひはおちていく。

<意味>
夕方になると、蝶よ花よと [育てられた娘も] 蝉のぬけがらとなって、今日を限りと陽が沈んでしまう。

<解説>
<意味>から離れて、箱入り娘の死を題材としたモノとも読める。結句「陽」は第2句「てふよはなよ」と歌われている人物の比喩と解釈出来るからだ。
だが、第3句「うつ蝉」は、 (Cicada) の抜け殻 (Shell) と謂う意味の他に、実際に生きている人間の事でもある。だから、言外には、どんなに愛され慈しまれて育てられたとしても、死の定めからは逃れる事は出来ないと、謂う意味にもふくませられる。歌の主題となっている人物に限定された事ではないのだ。
と、同時に長編小説『源氏物語 (The Tale Of Genji)』 [紫式部 (Murasaki Shikibu) 作 1008年頃成立] に於ける登場人物のひとり、空蝉 (Utsusemi) が彷彿とされる。死にこそしないが、光源氏 (Hikaru Genji) の求愛を袖にして、地方官吏の許へと身を投じてしまう、すなわち結句「おちていく」のだから。

(この項:たい)

posted =oyo= : 17:03 | comment (0) | trackBack (0) | るいの歌集(仮)

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