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2021年04月01日

卯月朔ニ詠メル

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なべの端に にごるる灰汁と しがつばか だますひとだに 吾にあらなくに

るい詠める

<読み>
なべのはに にごるるあくと しがつばか だますひとだに あにあらなくに

<意味>
鍋の端に濁っている灰汁とエイプリル・フール [の様である。] 騙す [事の許される親しい] 人がわたしにはいないのに。

<解説>
文法的な点を幾つか書き出す。
第2句「にごるる灰汁」は、ラ行下二段活用動詞"濁る"連体形 + 名詞「灰汁」である。
第4句「だに」は、否定の副助詞"である。
結句「あらなくに」は、ラ行変格活用動詞"有り"未然形 + 打消の助動詞"ず"連用形 + 接尾語"く" + 逆接の接続助詞"に"で、"ない事であるなぁ"と訳す [猶、この語句の文法上の解釈は幾つかの説がある様だ]。
と、解釈上でひっかかかりそうな文法上の留意点をみていけば、自ずと歌の解釈は可能な筈ではあるのだが、そう簡単にもいかない。上の<意味>の様に、幾つか語句を補わなければならない。
最も、訳の解らない点は、「灰汁」と「しがつばか」の関係性である。前者は煮炊きの料理の際などで、その具材からでる上澄み液の事で、調理の際は通常、それを掬って除去する。前者は謂わずとしれたエイプリルフール (April Fools' Day)、すなわち今日と謂う日の事だ。
灰汁 (Lye) を単純に不要なモノでそれが発生する事はない必要悪であると解すれば、エイプリルフール (April Fools' Day) と謂う行事? もまた不要でかつ必要悪である。そんな解釈は成立しそうだ。
さらにもっと単純に「しがつばか」を"4月の愚か者 (A Fool In April)"と解してみれば、暖かくなったいまこの時季に行う鍋料理 (Nabemono) こそ、その様な愚かな行為である、とも読めそうだ。

(この項:たい)

posted =oyo= : 17:13 | comment (0) | trackBack (0) | るいの歌集(仮)

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