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2019年05月30日

或ル映画ミテ詠メル

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をのこふたり あらそふかれらの その背には 幾人をるや くらき影さす

るい詠める

<読み>
おのこふたり あらそうかれらの そのせには いくたりおるや くらきかげさす

<意味>
男達がふたり、争う彼等のその背中には何人いるのだろうか、くらい影がさしている。

<解説>
一見、単純な歌だが、すこしまわりくどい事を考えてみよう。
争っているふたりの人物の背後にはそれぞれ一体何人いるのだろうか? と謂う問いかけは、少なくともふたつの意味がある様に思える。対立するふたつの勢力を代表してと謂う意味なのか、それとも、いまここで争っている人物達は、争う理由のそれ以外のモノを背負っているのかという意味なのか、そんな理解である。
但し、このふたつの意味をさらに問い詰めれば、前者はみずから進んでその責を追っているのだろうか、それとも、否応なくそんな立場に立たされているのだろうか、そんな疑問が派生しない訳ではない。後者においても、それ以外のモノと争う理由の因果関係へと想いを馳せざるを得ないのだ。
そして、往々にして、ふたつあると思われた意味は、実のところ、まったくおなじところに深く根ざしている様に思えてしまう。まわりくどいというのはそういう意味である。
勿論、詞書にある「或ル映画」をみれば簡単に解決してしまうモノなのかもしれないが、果たして、この歌がその作品で語られている物語にそって謳われていると謂う保証はどこにもない。極端なはなし、作品内では争っているふたりだが、撮影を終えた俳優それぞれが一個人に戻ったら、そんな趣旨なのかもしれないのだ。

(この項:たい)

posted =oyo= : 17:20 | comment (0) | trackBack (0) | るいの歌集(仮)

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