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2014年03月06日

弥生ノ風ニ惑フテ詠メル

20140306.jpg
あるじなき みせ吹き荒び 轟々と 冬呼び戻すのか それとも彼を

るい詠める

<読み>
あるじなき みせふきすさび ごうごうと ふゆよびもどすのか それとも彼を

<意味>
主人のいない店を轟々と吹き荒び、冬を呼び戻そうと謂うのか、それとも彼を [この強風は]。

<解説>
昨夜から強風が吹き荒れている。その風の音は強く、樹々や家々を強く叩いていると知れる。先程からひっきりなしに、緊急車輛がサイレンを鳴らして駆け抜け、ただでも落ち着かない気配が、さらに拍車をかける(なんだか、日本語として変な文章だ、それぐらいの甚だしさだと思ってくれれば良い)。
描かれているのは、所謂、シャッター商店街のひとつを成す店鋪の事だろうか。それとも時節柄、引っ越ししたばかりの空家なのだろうか。それとももしかしたら、夜逃げのその後の光景なのだろうか。勿論、これはこれで時節柄の日本の風景のひとつではあるのだけれども。
解釈に悩むのは、結句の「彼」だ。素直に読めば、その空虚となった家の基の主に他ならない。だけれども、上に挙げたみっつの例のどれを考えても、還ってくるという状況を考える事は出来ない。
だから、ぼくは凄く嫌なモノ、凄く不安にさせるモノ、そんなモノばかりが頭に浮かんでしまうのだけれども、これも、この強い風のせいにしてしまいたい様な気がする。

(この項:たい)

posted =oyo= : 17:25 | comment (0) | trackBack (0) | るいの歌集(仮)

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