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2005年09月06日

『戦略大作戦』の<吹替版>と<字幕版>を立続けに観る

偶然に偶然が重なって、テレビ東京で<吹替版>、CSスーパーチャンネルで<字幕版>、その双方の『戦略大作戦』を日を置かずに観る事となってしまった。
世間一般で言うカルト映画であるとか、個人的な意味でのカルトであるとかいうんぢゃあない。
そもそもの始まりというか、この映画を知るきっかけとなったのが『新映画宝庫 vol.2 ミリタリーヒーローズ 力瘤映画戦場編』というムック。僕のネタ本のひとつでもあります。このムックでは、カラーグラビアで映画の一シーンをディオラマで再現しているというチカラの入れ様だったから、自ずと興味が湧いていたのであります。

まぁ、そんなこんなな状況の元で、偶々、ひまぁ〜な昼下がりに地上波でまったり観れる条件が整ってしまったので、観る事にしたという訳。
放送終了後に件(=くだん)のムックを手にとって確認してみると、あぁ、やっぱり。この本で指摘されている見どころ(それは、世間一般的な見どころぢゃあ、勿論なくて、編集氏の片寄ったヴィジョン?)が、かなりカットされている模様。こりゃいずれノーカット版を観なけれりゃああきまへんな、と思ってたところに、またまたひまぁ〜な時間にCSで観れると解ったのでこれ幸いっ。

映画の粗筋は、好きものに言わせると、主演のジョージ・クルーニー扮するどぐされ兵士が戦争のどさくさに紛れて宝物捜しをする『スリー・キングス』と同工異曲という事だそうですが、それって、実は反対ぢゃあないの?  こちらの『戦略大作戦』が元ネタで、舞台をベルリン陥落直前の第二次世界大戦西部戦線から湾岸戦争に移したのが『スリー・キングス』ってことですよね。この映画観た事ないから、詳しい事は解らないけれども...。

ものづくし(click in the world!) 12. :

映画としての『戦略大作戦』

物語の骨子となるのは、最前線に送られているはぐれ小隊が3日間の休暇を利用して、ナチス=ドイツ軍が隠してある1,600万ドルの金塊を強奪しに行くという、馬鹿話。
主役のはみだし兵士ケリ−に未だハリー・キャラハンになる前のクリント”シェイファー中尉 in『荒鷲の要塞』”イーストウッド。小隊を実質的に指揮している叩き上げの軍曹ビッグ・ジョーに後の刑事コジャックテリー”戦車兵ガフィー軍曹 in『バルジ大作戦』”サウ゛ァラス。そして頭のいかれた戦車長オッドボールにドナルド”ホークアイ in『M★A★S★H』”サザーランド。まぁ、この三人ががっぷり組んだというだけでも見ごたえある馬鹿話なんだけれども、それよりも。
その馬鹿話にリアリティを与えているのが、徹底的にリアルを追求したディティール。軍装や、兵站(=へいたん)や、軍の指揮系統や、そういった諸々をキチンと踏まえて、さらにそれをブラックな笑いで包んで物語は進んで行く。
まるでホンモノの様なシャーマン戦車やタイガー戦車(でも車輪の形態を見るとやっぱり違うと気づく、田宮世代の面目躍如です。)を用意するだけでなく、各々の機能を知り尽した上で、各々の戦車としての見せ場をきっちりとキャスティングして行く。
cf.参照せよ!
tamiyaworks.jpg

シャーマンの車体に主人公達の小隊が鈴生りになって乗り込むのは、歩兵部隊と連携して行動するのが、この戦車の主たる役割だから。その結果、戦車部隊単体で作戦行動出来るタイガーには火力や装備や起動力が劣っているから、いかれた戦車長といえども、いざとなったら尻込みをする。そういう状況を前提条件としたからこそ、クライマックスのシャーマンvsタイガー戦は、ああいう展開となる(って観てないヒトには教えない)。
でも、シャーマン部隊が、腰が抜ける様な能天気なカントリー&ウエスタンを大口径のスピーカーで大音量で流しながら奇襲攻撃を仕掛けるという描写があったけれども、あれはアリなんですかね? ベトナム戦争ロバート”キルゴア大佐 in『地獄の黙示録』”デュヴァルがチャーリーズ・ポイントをイロコイ(=ヘリコプタ−)部隊で奇襲攻撃する際にも踏襲されていますが。

で、まぁ、そういう細かいディテールの積み重ねや後々の伏線となる大事な台詞がこっそりと<吹替版>では間引かれていたという訳ですが、必ずしも、<吹替版>が良くなかったという事ではありません。
主人公ケリ−を故山田康雄があてているのは順当としても、あのいかれた戦車長オッドボールに、普段の飄々としたイカレっぷりに、時にドスのきいた迫力を醸し出させていたのは、宍戸錠だったのです。

次回は、ノーカットの<吹替版>を観たくなったというのは、無い物ねだりでしょうか?

あ、そうそうこの映画見たヒトだけが楽しめる、こんなサイト発見しました。→戦略トライアル

kellysheroes.jpg

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