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2005年03月18日

マレーシア沖海賊事件

事件の概要と拉致された方々(とその家族)を含めた被害者の心情その他はともかくとして、やっぱりひっかかるのは”海賊”という古式蒼然としている癖に、こちらのイマジネーションをやたらと掻立てるタームが使用されている事。
やっている犯罪行為が、政治思想なきテロリズムと殆ど同一にも係らず、ロマンティックな美化されたバイアスがかかってしまう。いっそのこと”海賊”という呼称、やめませんか?

ものづくし(click in the world!) 2.:

海賊

大陸に渡って後のチンギス・ハーンになったという義経伝説や、NHK 大河ドラマつながりの、新選組十番隊組長:原田左之助や西南戦争で敗退した西郷隆盛など、大陸に渡って馬賊になったという王道楽土な伝説はいくつかある
けれども、どちらかと言えば、東宝怪獣映画に代表される汎大平洋思想(志向)は、島国根性はびこる日本という島々には根強いんぢゃあないかしら。
単純に言ってしまえば、 360°全方位にひろがる地平線をあなたはみたいですか?それとも水平線をみたいですか?ってことなんだけど。(私は幼い頃、よく、無性に海を観たくなって、自転車に飛び乗って片道30分くらいの道のりを疾駆して行きました)

最近で言えば、ジョニー・デップの快演(それとも怪演?)がずっぱまりの『パイレーツ・オブ・カリビアン』に、「海賊王にオレはなる!!」な麦わら海賊団『ONEPIECE』。う〜ん、やっぱロマンチシズム溢れ過ぎてる。海賊と言えば、莫迦でっかい帆をはらませたメイン・マストに翩翻とひるがえる旗、"SKULL & CROSSBONES"!! そんな大帆船を思い浮べてしまうのは俺だけ?(そんなイメージを大海原からそのまんま、大宇宙にもってってしまった松本零士という方もいますが)
そして、何故か彼らは義賊。酒は好きだし女も好きだ、罪は犯すが非道はすまじ....。スティーブンソンのかの『宝島』も、20年前くらい前に本邦でアニメ化された作品では、あの海賊シルバーが無茶苦茶ナイスガイにアレンジされて登場していました(これは個人的には大変な名作なのです)。これを観た印象を引きずって原作にあたると失望する事受合いなくらい、”海の男”の理想像のひとつがあのアニメにはあったのです。
そんな夢の中の理想像の様な、ロマン主義的な海賊を堪能したければ、手っ取り早くエマーソン・レイク&パーマーのそのものずばりの「海賊」(from album "WORKS")という曲があるけれども、ここはひとつ。映画『JAWS』のサウンドトラック盤は如何でしょう? あの有名な、人喰い鮫のメインテーマとパニック映画という表層を剥ぐと、その下には海洋冒険映画という素顔が出てくる。オルカ号に乗った三人の男達というモチーフは、かの三谷幸喜も大好きでしたよね!?

で、ぐるっと遠回りしてやっと辿り着く”カリブ海の海賊”ならぬ”マラッカ海峡の海賊”による今回の事件。アルカイダとの関係性が囁かれたり、昨年末の大地震/大津波の被災地との関係性、そしてこんなに危険な水域にも係らず、日本船舶が航海しなければならないという経済(そして石油輸送航路であるという日本のエネルギー問題)との関係性... etc.に思いを巡らしているとぶち当るのが、PANTA & HAL の1979年の名作『マラッカ』。
中国と日本、台湾と日本、韓国と日本、北朝鮮と日本、東南アジアと日本、ロシアと日本、米国と日本、そして日本と日本。25年前となんにも変わってないや、というか、当時は漠然とした不安や焦りといった抽象的な思いが、個々それぞれとっても具体的な現実の事象として現れている.........。

posted =oyo= : 21:40 | comment (0) | trackBack (0) | ニュースをみる /ものづくし (click in the world!)

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