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2006年02月08日

『第三の男』をNHK-BS2で観る

チターの有名な旋律が一人歩きして、いまや「ちょっと贅沢なビール」のテーマとJR恵比寿駅で列車発車を告げるチャイム音として知られるあの音楽は、もともとはこの映画のメイン・テーマ

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名場面/名台詞も数々あって、フェイドインして画面から退場するヒロイン=アリダ・ヴァリAlida Valli)のラストシーンは手塚治虫も自身の作品『38度線上の怪物』に引用したし、その直前の地下水道での追跡劇等はトキワ荘グループにかなりの影響を与えている(藤子不二夫Aまんが道 』参照)。
ところで、アンジェィ・ワイダAndrzej Wajda)の『地下水道』とこの映画の関連性とはどういうものなのか、本歌取りに近いものを感じるのは僕だけなのかな?

大観覧車での対決シーンや、その直後に発せられる「スイスの500年のデモクラシーと平和は何を生んだ? 鳩時計さ」と、今や使い古された感のある名台詞も実は、この映画から。
不安感をあおる、常に斜に傾いたカメラ・アングルや、独表現主義的な影の演出等、僕個人の嗜好をそのまんま反映させた様な作品なのだけれども、一番好きなシーンと言えば、やはりこれ。闇の中にくっきりと浮かび上がるオーソン・ウェルズOrson Welles )の顔。スチール等で紹介されている有名なものなのだけれども、虚空を凝視める不安げな顔が、たちまちに、悪魔の様な笑顔に変わる、その一瞬がたまらない。

何故なら、彼の登場によって、この映画の向かうべき方向ががらりと変わるからなのだ。

本国で喰いつめた三文文士のアメリカ人=ジョゼフ・コットンJoseph Cotten )が、旧友を頼って、ウィーンに赴く。第二次大戦終了直後、英米仏ソの共同統治下におかれた政情不安な中、言葉も通じない異国に辿り着いた彼を待っていたのは、その頼りとすべき友の不可解な死と葬儀だった。主人公は、その死因を追求して友の死の目撃者から証言を引き出そうと悪戦苦闘する内に「第三の男」の存在が明らかになる...というミステリー仕立てで前半は進行して行く。
それが、不在/非在の筈のオーソン・ウェルズOrson Welles )の登場により、三文文士とその友、そして友の愛人との微妙な恋愛感情がもつれあって行くサスペンスとなっていくのだ。
そして、総てが解決し、主人公と共にウィーンでの二度目の葬儀に立ち会った後に、物語はあのあまりにも有名なラスト・シーンへと向かう。


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