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2005年07月13日

『スター・ウォーズ(STAR WARS)』を地上波で観る

はい。
と言う訳で、『スター・ウォ−ズ』シリーズ最新作にして最終作とされる『STAR WARS エピソード3 シスの復讐』は、まだ観ていません。御覧になった皆さんはいかがでしたか?
ところで、タイトルにある様に、既に公開が終了した前5作品がここ一ヵ月の間に、地上波で続々と放映された。それを整理するとこうなる。

STAR WARS エピソード1 ファントム・メナス』 日本テレビ系列
STAR WARS エピソード2 クローンの攻撃』   日本テレビ系列
STAR WARS エピソード4 新たなる希望』    テレビ朝日系列
STAR WARS エピソード5 帝国の逆襲』     テレビ朝日系列
STAR WARS エピソード6 ジェダイの帰還』   TBS系列

ちょうど、この期間にバレーボールの2005ワールドグランプリ放送とバッティングしたフジテレビ系列と、おみそのテレビ東京系列を除く民放3局でなんとか上手く振り分けたって感じかしら?
これが放送局の少ない地方に行くとどうなるのか? 一局集中放送とか、逆に観る事の出来ないエピソードが出て来たのかしら? これは調査不足でちょっと解らないけれども。この振り分けを観る限り、それなりの配慮は、なされてはいる様ですね。
アナキン・スカイウォ−カーが辿る悲劇の序章としてのエピソード12という系列と、その息子ルークによるアナキンダース・ベイダー救済の物語(エピソード4,5 & 6)は分断される事なく、日本全国どこにいても、少なくともどちらか一方の物語は、辿れる様な振り分けにはなっていそうです。

ものづくし(click in the world!) 13.:

「映画」としての『スター・ウォーズ』

地上波で今回、このシリーズを観た人は、不思議な感慨に捕われなかっただろうか?
本編が終了して、真っ暗な画面を下から上にスクロールする、スタッフやキャストのクレジットはオミットされたり、次週放送予定の作品の予告編と画面分割されていたり、日本語版制作スタッフとキャストが大忙しで流れ過ぎたりしているクセに、オープニングは映画館での上映スタイルと全く同じ。映画本編開始直前のセレモニーを律儀に放送している、あれは一体どういう訳でしょう?

軽快なマーチング・サウンドと共に、サーチライトで照らし出される20世紀フォックスのロゴ・マーク。それに続いて闇に浮かび上がる、ちょっとバブリ−で成金趣味で、でも正調ハリウッド・スタイルのルーカス・フィルムのロゴ。そして、あの言葉が真っ暗な闇の中に浮かび上がる「a long time ago in a galaxy far,far away(=遠い昔、遥か彼方の銀河での物語)」その文字が消えた瞬間、あのジョン・ウィリアムスによる「スター・ウォーズ〜メイン・タイトル」が鳴り響き、僕達は大銀河の真只中に放り出される。

時間としては、ほんのわずかな時間。しかも、物語本編には全く影響を及ぼさない、映画としての短いセレモニー。
通常のTV地上波放送では当然、カットされてしかるべき部分であり、このシリーズ以外は当然のごとくに切り捨てられるところなのだが。
(例えば、映画『猿の惑星』では、未知の惑星に漂着した宇宙飛行士達がちっちゃな星条旗を立てるという重要なシーンが案外、無造作にカットされて放映されていたりするんです。そういったTVの放送時間という厳格な戒律に従って、一体、どれほどの重要なシーンが切り捨てられた事か。それを踏まえて考えると破格な扱いといっていいでしょう。)
勿論、ノーカット放送とか種々の条件、視聴者が預かり知る事の出来ない契約条件とかの拘束というのはあるのかもしれない。
でも、例えそれらがなかったとしても、あの数十秒は決してカットしてはいけない数十秒なのだ。極論を言えば、あの数十秒があるからこそ、このシリーズは「映画」として成立しているといっても差し支えない程、大切な数十秒なのである。

映画を映画館で観る為には、幾つもの儀式があります。
儀式というと大袈裟だけれども。
前売りを購入したり、人気番組では整理券を入手する為に早めに出かけなきゃならなかったり、場合によっては数時間前に並ばなきゃならなかったり、運良く劇場に入れたとしても、上映時間が来る迄は、パンフ買ったりその辺をうろうろしたり、トイレにも行かなきゃならないし、恋人同伴だったらケアもしなきゃあならないし。
やっと場内が暗くなり出したと思ったら、お給料3ヶ月分とか、劇場近くの焼肉屋のCM観せられたり、次回上映作品の予告編を延々と観せられたり。蓮實重彦ぢゃあないけれども、映画という制度は、大変マゾヒスティックな制度(ちなみにこれは非常に逆説的な表現)であります。
観客はそういった儀式を経て、やっとお目当ての作品に巡りあえる訳です。それは極端な表現をすれば、"これから240分、あなたの目はあなたの身体を離れて、この不思議な時間の中に入っていく"((c)ウルトラQ)為の大切な儀式でもある訳です。それは、ウルトラQやあまたのSF映画だけでなくて、アクション映画でも恋愛映画でもドキュメンタリー映画でも同じです。
現実と映画を切り結ぶ接点となるのが、映画会社のロゴであり、それを観た瞬間が、観客の映画への期待感や高揚感が最高潮な時でもある(筈です)。

しかも、このシリーズはジョージ・ルーカス曰くの”サイエンス・フィクションではなくスペース・ファンタジーである”を待つ迄もなく、登場するのは、これまで観た事のないエイリアン達であり、これまで観た事のないモンスター達であり、実生活では決して体験出来ない宇宙空間での戦闘であり...<中略>...つまりは、眼に写るヴィジュアルは現実生活とは全く無関係の絵空事なのである(公式ページデータバンクを参照して下さい、ありとあらゆる登場人物や登場怪物や登場ドロイドは勿論、スターシップやらビークルやらの様々なテクノロジーまでもが網羅されています)。
せちがらい現実生活からほんの一瞬遊離して、映像の世界にただひたすらその身を任せ、主人公や悪漢やヒロインやと共に、軽やかに飛翔する事、その為の準備運動が、あの数十秒だと僕は思います。

個人的な映画体験としては、東宝スコープのロゴ・マークと供に、伊福部サウンドが鳴り響くとある種の感慨を催すのと同様に、20世紀フォックスのロゴと供にジョン・ウィリアムスの音楽が流れれば、幼児体験として観た幾つかの20世紀フォックス制作のSF-TV番組、彼が音楽を担当した「まさにこの」な『宇宙家族ロビンソン』は勿論のこと、『原子力潜水艦シーヴュー号』や『タイムトンネル』や『巨人の惑星』が思い出されます。
例えば、砕け散る波頭に浮かび上がる東映のロゴ・マークを観れば「仁義なき戦い」シリーズを想い起したり、富士山バックの松竹のロゴ・マークを観れば、小津作品や寅さんシリーズを想い起したりする、そんな方もいらっしゃるでしょう? つまりはそれとおんなじ。 

恐らくジョージ・ルーカスがあの数十秒にかけた想いというのは、それらと大差はないでしょう。
しかし、それらのSF-TV番組を観たという体験がない世代にも、強烈な印象を与えるあの数十秒は、単なるノスタルジックという枠組みを超えた、映像体験と言えるでしょう。

いつもあの冒頭を観る度に、不覚にも涙出そうになるんですけれども。

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コメント

>どらねこ様
thanx 4 u-r comment & trackback.

字幕なら字幕で、あのシンプルな闇の演出が損なわれてしまう様な...。極論を、言ってしまえば、大銀河を旅するあの大きな文字群は訳出する必要もないと思うんですよね。
あと、音楽のタイミングですけれども、おそらく、20世紀フォックス・マーチからメインテーマへの流れって、譜割とかコード進行とか一つの楽曲として構成されているんではないでしょうか? 音楽理論って全然解らないので、あくまで想像の域を出ないんですが。

すっごくよくわかります!
あの無音の間に出る
"a long time ago in a galaxy far,far away"
と、その直後のオーケストラの入りは絶妙で、どらねこも涙出そうになります!

だから、今日のジェダイの復讐のナレーションはガッカリしました……。
読むなよ……せめて字幕にしようよ……;;

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