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2005年07月11日

ロンドン同時爆破テロ

事件のあったその日から、いろいろな映像やいろいろなコメントや論評がニュース番組で放送されている訳だけれども、それを観ながら、いろいろな事を考えさせられたり、大きなNO!や大きな疑問符が数多く頭の中を駆け巡る。それらをきっちりと整理しなくちゃと思う一方で、ややこしい事を考えたくないなぁと思考停止一歩手前で踏み止まったりしている。
ここまで書き出しながらも、まだ逡巡しているんだけれども。
実は、嫌悪感と言ってもいいぐらいな非常に違和感を持った映像があって、その事ばかりを考えているんです。

その映像は、G8含めた各国首脳を従えて声明を発表する英ブレア首相の映像です。
その声明は、地下鉄の爆破やバスの爆破が明らかに「事故」ではなくて「事件」しかもテロであろうと、誰の眼にも明らかになった時点で発表されたものです(僕がこのニュースの第一報を聴いた時点では、テロの可能性も極めて強いが、未だスコットランド・ヤードは「事故」として対応しているというものでした)。
声明の内容自体は、テロリストを糾弾しテロに屈服しないというものだから、決して目新しいものではありません。9.11.以降、その時その時に為政者が発言し続けている内容でもありますし、サミット等の国際会議の共同声明なんかでも、議長総括として各国首脳が居並ぶ中で発表されている映像と、大差はありません。
但し、ひとつの具体的なテロ行為に対して、各国首脳が同席している場で、テロを糾弾するという状況は、今回初めてではないでしょうか?
例えば、前者は具体的なテロ事件に言及したとしても、その直接関与している為政者一人の発言である一方で、後者の声明はより一般的な「テロとの闘い」(つまり、「民主主義の擁護」だったり「基本的人権の尊重」の様な極めて抽象的なスローガンめいたもの)としての言及である場合が多い、というのが実情です。

サミット開催時に各国首脳が一堂に会しているときにそのお膝元で大規模なテロ行為が行われたのだから、そんなの当たり前でしょ?って、ここまで読んだ方は思うかも知れませんね?

僕が違和感を感じる理由は、主に次のふたつです。
1.)テロリストの視点から見れば、この声明の場に立ち会った各国は全て彼らにとっての敵、次なるテロ行為の標的になり得ます。
テロとの対決姿勢を打ち出す事、すなわちそれは次のターゲットとなる「自己責任」があります。その様な自覚が、各々の国にあるでしょうか? 特に、我が国はどうなんでしょうか?

2.)その一方で、「テロとの戦い」がお題目の様に唱えられる事によって、各国が立ち向かわなければならない、様々な難問や課題から眼をそらさせる事にならないでしょうか?
各国各々が、様々な内憂外患(英にとってのIRA、ロシアにとってのチェチェン、中国にとってのチベット台湾等)がある中で、それらの治療やテロリズムそのものの元凶(貧困や差別やその他諸々)に立ち向かう事を放棄して、対処療法的にテロリストとの具体的な戦闘行為に血道をあげる様な事には、ならないでしょうか?

すごく単純に、大雑把に、誤解を恐れずに言っちまえば、”赤信号みんなで渡れば怖くない”式に、各国と同調する事がこの国と我々を危うくする事にならないのだろうか? その事を、我々にきちんと説明しているのだろうか?って事です。
例えば、イスラム諸国の人々の視点では、日本は、非キリスト教圏での数少ない先進国であると同時に、奇跡の戦後復興を果たした経済大国であって、彼らから見れば「こちら側の国」なんですね(自衛隊のサマワ駐留でその認識も随分と揺らいでいる様ですが)。つまりは、テロリストにとっては、日本は執行猶予期間というか保護観察中なんです。
もしかしたら、グレイ・ゾーンを抜け出て、二項対立軸のひとつを、無自覚かつ無意識に(しかも無責任に)選び取ってしまったんぢゃあないかしら、そう思えてしかたありません。

以上、今回の投稿のBGMは、マーヴィン・ゲイMARVIN GAYE)の「ホワッツ・ゴーイン・オンwhat's going on)」で、お送り致しました。

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